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冬は如何に走るべきか2

  • by admin

 距離の話しで言えば現在で象徴的なのは、福島大学と北海道ハイテクでしょう。長い方が福島大学で、短い方がハイテクです。
 私の感覚で言うと、比較的年齢の早い段階で、長い距離で感覚を掴ませるような事をした方がいい気がします。キャッチボールやリフティングのようなものでその時期だと比較的掴みやすい、体重が落ちてきて脚で支える感じとか、足の裏の狙った所に体重を乗せる感じとか、手と脚をリンクさせて地面を踏む感じなど、若い時であればあるほど神経が広がる感じがします。
 これはあんまり速く動くとよくわからないままごり押ししてしまう事になるため、ゆっくりのスピードで確かめながら走り、速く動く時は速く動くなどの割り切りを大事にした方がいいです。ゆっくり投げる動きを確かめてから、ピッチング練習に入るあれと全く同じです。ただ結局はゆっくり走る局面など、短距離にはありませんから、最後はスピードに持ち込めないといけません。
 ちなみに走る距離は上記のものが私のおすすめですが、量に関しては、現役をどこまでやろうかと思っているかによって、だいぶ変わります。
 量、つまり本数や強度ですが、20代前半までに現役を終えようともしくは高校時代で終わりだと思っている選手は、なんぼでも走ったらいいと思います。そして休憩時間を短くして、特に乳酸が出るようなじわっとした感じをより味わった方がいいでしょう。こういう練習にはピークを前倒ししてくれる効果があるように思います。
 全く科学的根拠はないので体感での話ですが、1回動けなくなるほど疲労してからそこから更に追うような練習をすると短期間でかなりレベルを引き上げる気がします。ですが、それを数年やってしまった選手は、非常に伸び悩む事が多いです。私なんかもその口ですが、確かにむちゃくちゃやった時は一気に走れるようになりましたが、その後ぴたっと止まりました。
 ですからある意味でここまでと現役を決めている選手は、このパターンが有効な気がします。
 長く現役を続けられそうだし、続けたいと思っている選手は、とにかく量を少なくできるに超した事はありません。なるべく少ない練習量で、最大の効果を。これをよくよく考えて走るのがいいと思います。走っているうちにいつの間にかたくさん走っていたのは、問題ありません。結果的に量が増えてしまうのと、最初から量を目的とするのは同じようで違います。
 間接は単純に使えばすり減ります。なるべく間接を摩耗せず、正確な動きを心がけるには、少ない本数で意識しながら走るに限ります。
 ただこれをやっていい選手には条件があります。ずば抜けた才能を持っている事と、客観的な頭を持っている事、それから自分で全部考えて決めている事です。これらを持ち合わせていない選手は、相当熟練したコーチを持たないとただの練習不足になる可能性が非常に高いです。
 朝原さんの現役があれだけ持ったのは、彼が正確な動きをしたからという事、直線競技だった事、疲労骨折で走れない数年があった事、それから一番は合理主義者であった事とみています。
 如何に合理性を持って走るかを考えていたからこそ、あそこまで現役が持ったのだと思っています。時々、この人は頭で速くなってるなと思う時がありましたが、先が長い選手はそのぐらいでいいでしょう。
 むしろ将来頭でひらめいた事が体現できるように、いろんな動きをたくさん出来るようにしておく事に重点を置いた方がいいぐらいです。頭で想像した事が体現出来ないから成長が止まる、と感じるレベルがいずれ訪れるからです。
 後は様々な走りをお勧めします。これは個人的にはすごく役に立ちました。
 例えば走ってきてスキップを40mほどしてまた走るとか、手を体にそわせたまま走るとか、踵だけで走るイメージを持つとか。
 私にとって理想の走りというのは、体のど真ん中、重心の部分が、脚の上に乗っかってはじかれて前に進む。その繰り返しです。手とか脚とかは付いてるんなら動かしとこうか、そんな程度です。あくまで胴体が決まっていないと前には進みません。
 私のボルト選手のイメージは、横を向いていながら減速しなかったあの瞬間です。未だに目に焼き付いて離れません。肩と胴体と頭で体を地面に押さえつけるだけで、ぽんぽん跳ねていくような、それに衝撃を受けました。
 思い出せば昔カールルイスが、200mの準決勝でスピードがつきすぎてコーナーを曲がりきれなさそうにしていたあの時も同じ衝撃がありました。手とか脚とかいらないのかなあの人たちはと思いました。
 これは私の理想の走りの話ですが、比較的そう遠くない所にみんな行き着いているように思います。その時に向けて、自分の頭からどういう風に指令を出せば、どういう風に体は動くのかを今のうちにたくさんストックに貯めておいた方がいいと思います。普通に走っているだけではそのストックは増えません。
 1秒間に5回、前後する手足を思い通りにコントロールするのは徹底的に張り巡らされた神経が無いと難しいのです。
 
 冬は根を張る時期です。時間をかけて広げておいた方が、ゆくゆく上に伸びる時に安定します。