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ブータン×寄居陸上競技選手権大会2018開催

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ブータン陸上全国大会開催

ブータンの首都ティンプーにおいて2018年4月28日、ブータン国内初めての陸上競技全国大会が開催されました。一般社団法人アスリートソサエティからは、代表の為末大をはじめ計6名のスタッフが大会運営に携わり、またホストタウン協定を結んでいる埼玉県寄居町役場の職員、及び地元の埼玉県立寄居城北高校生2名も現地へ赴きました。大会開催資金の一部は、本年1月から3月にかけて高校生等が行ったクラウドファンディングで得た支援金が充てられました。本大会は首都の選手のみならず、7つの地域から予選を勝ち抜いた約70名の選手が参加し、選手間の交流の実現も含め活気ある大会となりました。
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4月27日:テクニカルミーティング

大会前日は、ブータン陸上競技連盟(以下:BAFF)のコーチと共にプログラムやスタートリストの最終確認を行いました。初めて使う用具やアプリケーションの使い方についての説明をし、午後には大会当日の学生審判員とも合流して、競技場にて打ち合わせを行いました。今後は彼ら自身で大会運営を行なっていく事の重要性も踏まえ、彼ら主体で運営ができるようにサポートしました。

4月28日:大会当日

当日はBAFF会長のチェワン・リンジンさんにご挨拶を頂き、準備万全の状態で開会式が始まりました。種目の前には選手紹介を行い、それぞれの選手が練習の成果を発揮しようと全力を尽くして競技に取り組んでいました。ブータンには、高校を卒業後に出場できる試合がなかったため、大学生らも積極的に参加し試合を盛り上げていました。
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種目と結果

100m女子 サムゲイ・ワンモ 13″84
100m男子 タシ・デンドゥップ 11″88
200m女子 イェシ・デマ 30″05
200m男子 ペマ・チンリー 24″57
400m女子 チメ・ワンモ 66″27
400m男子 ミファ・グルン 55″29
走り幅跳び女子 テンヂン・チョデン 4m25cm
走り幅跳び男子 タシ・デンドゥップ 6m46cm
4x100mリレー 女子:プナカ地区代表 55″00
4x100mリレー 男子:ティンプー地区代表 46″13

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種目数はまだ限られていましたが、全種目で予選・決勝が行われ、初めて公式の国内チャンピオンが誕生しました。以前に日本へ合宿等に訪れた選手らの活躍も見られました。また、大会運営に携わった代表の為末と共に、埼玉県立寄居城北高校生2名も大会に親善参加しました。ブータンのアスリートは、またとない海外選手との試合の機会に胸を踊らせていたようでした。

4月29日:全国大会出場選手向け 陸上クリニック

29日には、地方から参加していた選手も含めたブータンアスリートを対象に、陸上クリニックを開催しました。代表の為末、他アスリートソサエティコーチ2名を中心に、午前中はウォーミングアップの重要性を説明し、内容を紹介しました。試合に参加するのが初めての選手にとっては、私達が当たり前と思っている事でも大切な学びとなります。一つ一つを丁寧に伝える事を心がけました。
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また午後には、スプリントチームとジャンプチームに分かれ、簡単な技術練習を行いました。夢中になり説明を聞く彼らの目はとても輝き、ブータンのコーチらも喜んで共に参加していたのが印象に残りました。1日という短い時間でしたが、今後の彼らのトレーニングプランの改良に少しでも役立てばという思いでいます。
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参加者の声

◯ブータンオリンピック委員会 ソナム・カルマ・ツェリン事務局長
寄居町、為末さんと我々の陸上チームと2020年東京オリンピック事前合宿地決定以来、アスリート強化を中心に非常に良い交流が続いています。それがブータン初の陸上全国大会開催という形になったと考えています。 今回は7地域でしたが次回はさらに増やし、皆さんとこの大会を一緒に育てていきたいと思います。2020年東京オリンピックに向け、今後も積極的に交流していければ幸いです。

◯ブータン陸上競技連盟 チェワン・リンジン会長
初めての全国大会を開催できたことを非常に嬉しく思います。 ティンプー以外の地域の選手たちが、大会出場だけではなく、元オリンピック選手の為末さんと会えるというのもとても貴重で有意義な機会でした。選手たちにとって練習のモチべーションになっていましたし、地方の選手たちにとっては、このような機会がない限りトラックで走ることもなく、スパイクシューズを見ることもありません。 寄居町の高校生がクラウドファンディングで資金を集めてくれたことに驚きとともに非常に感謝しております。ブータンの陸上選手のほとんどが海外選手と競争したことがなく、大会に寄居町の高校生アスリートやアスリートソサエティから審判が来てくれ、国際大会のような雰囲気のなかで大会を開催でき、参加者全員が楽しんでいました。ぜひ来年以降も継続して開催していきたいと考えています。

◯タシ・デンドゥップ選手(100m、幅跳び、4×100mリレー優勝者)
3 種目で優勝でき大変満足しています。
ブータンは高校までは各カテゴリーで全国大会はありますが、私のように高校を卒業し大学に通っている選手、高校をやめた選手など誰もが参加できる大会がありませんでした。ですので、今回ブータン初の陸上全国大会の創設にご協力いただいた寄居町の皆さんに非常に感謝しています。今後大会の参加者が増え、私自身も含めブータン陸上チームが強くなっていくのが楽しみです。 日本の皆さん、2020年東京オリンピックでお会いしましょう!
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◯テンヂン・チョデン(女子走り幅跳び優勝者)
寄居町の選手と競えたことがすごく良い思い出になりました。 寄居町のことは合宿に行ったメンバーから話を聞いており、素晴らしい交流と思いながら私もいつか寄居町を訪れたいと思っています。高校卒業後にも出場できる大会が作られ非常にありがたく思っていますし、高校卒業後も陸上を続け東京オリンピックを目標としてこれからも挑戦を続けたいと思います。
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まとめ

本大会の開催を通じて、改めてスポーツが若い人々に与える影響の大きさ、そしてスポーツを通した国際交流の素晴らしさを感じる事となりました。2015年から始まったブータンとの交流ですが、一人一人の想い、一つ一つの交流の蓄積が今回の成果につながったといえるでしょう。2020年、ブータンアスリートの東京オリンピック出場を目標に、そしてその後にも続く交流のために私たちができるサポートを継続していきたいと思います。
・5月27日(日)に寄居町中央公民館にて大会の報告会を開催します。
・本プログラムは埼玉県寄居町とともに、企画:株式会社侍、協力:アスリートソサエティで実施しました。
・本ページに掲載の写真はすべてブータン写真家で本招聘プログラムのコーディネーター兼通訳の関健作さんに撮影頂きました。